2024.12.22.Sun
今日のおじさん語録
「自信とは、物事の本質を理解していないときに現れるものだ。/ウディ・アレン」
お洒落考現学
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連載/お洒落考現学

遥かスペインに
想いを馳せて。
テバジャケット、
ぼくならこう着る!

撮影・文/山下英介

「ぼくのおじさん」のスペイン特集で紹介したテバジャケットは、今季から日本のショップでも本格的に取り扱いがスタート。さっそく評判になっているとか。そこでここでは、ファッション業界のウェルドレッサーたちは、このジャケットをどう着こなしているのか、チェックしてみた!


英国生地業界の大物!
カントリージェントルマン
ダグラス・コルドーさん

テバジャケットへのお問い合わせ(エスプリ・ユージー・東京ショールーム☎︎03-3234-5075)

この記事をつくるにあたってまずご登場を願ったのが、英国を代表する生地メーカーFOX BROTHERSの経営者、ダグラス・コルドーさんだ。緑豊かな丘陵地帯のサマセットに本社と工場を構え、上質なフランネルスーツに身を包みレンジローバーを駆るその姿は、まさに現代のカントリージェントルマン。そのウェルドレッサーぶりは世界的に知られている。

実をいうと近年テバジャケットが世界的に知られるようになったのは、FOX BROTHES社がフスト ヒメーノに生地を卸しはじめたことも、ひとつのきっかけだったりもする。ダグラスさんが着こなすテバジャケットの格好よさが、世界のセレクトショップに知れ渡ったのだ。

今回特別にコーディネート写真を送ってくれたのだが、紺ブレがわりにサラッと羽織ったテバが、なんとも粋だよね!?

私が今日着ているテバジャケットは、もちろんFOX社のもの。テバに興味を持ち、わざわざサラゴサまで生地を送って仕立ててもらいましたが(笑)、今では私たちのオンラインストアでも扱っています。フランネルをはじめとするFOX BROTHERSの生地と英国にルーツをもつテバジャケットは、いうまでもなく抜群の相性です。ぜひ日本の皆様にもご紹介したいですね。

シップス一筋半世紀!
レジェンド・
雨宮教夫さん

お次にご登場いただいたのは、シップス 銀座店のドン、雨宮教夫さん。シップスがシップスになる前、「三浦商店」の時代から50年にわたって勤め続けるレジェンドスタッフだ。

スーツにインディアンジュエリーを合わせちゃうようなミックススタイルの先駆者である雨宮さんが、どんなふうにテバを着こなすのか、ぜひとも見せてもらいたかったんだけど、その装いはさすがに期待を裏切らない!

ネイビー無地のテバに、タイドアップしたラングラーのウエスタンシャツや、イギリスの森林警備隊が穿くタータンチェックのトラウザースを合わせたそのコーディネートは、シップスがかつて牽引していたフレンチトラッドをほのかに感じさせるもの。

でも雨宮さんはそんな完成された装いに、ターコイズのジュエリーやウエスタンブーツを合わせて、全くのオリジナルなスタイルに昇華させちゃうから素晴らしい。こんな着こなし、世界中の誰もやってないよ!

いろんな要素をミックスしているけれど、全体的にはネイビー〜ブルーを基調にしているからうるさく見えない。年季が違うよ、年季が!

テバジャケット¥129,800(シップス 銀座店 ☎︎03-3564-5547)



最近ちょっと流行りのウエスタンテイストだけど、雨宮さんの合わせているそれらは半端じゃない。アッパー全体にカービングが施されたザ・トレス・アウトローズのウエスタンブーツや、コンチョベルト、ノースワークスのキーチェーンなど、どれも語り出したら止まらない一生ものの名品だ。

ぼくも長年この仕事をやっていますが、スペインのブランドはほとんど思い浮かびません。テバジャケットの存在も今季初めて知りましたが、裏地もなくまるでシャツジャケットみたいで、とても着やすいですよね。うちでは今季何種類か取り扱っていますが、ぼくが選んだのはネイビー無地のフランネル。〝らしさ〟で言ったらガンクラブチェックなんだろうけど、ネイビー無地はブレザーみたいな感覚で、とても着回しやすいと思いますよ。

雨宮さんがネイティブアメリカンジュエリーに開眼したのは1975年頃。その後しばらく遠ざかっていたものの、20年ほど前にドレスクロージング部門に配属されてスーツを着るようになったことをきっかけに、その熱が蘇ったという。

18歳の頃、当時アメ横にあった「三浦商店」でアルバイトを始めて以来、半世紀以上にわたって街と服と人を見続けてきた雨宮さん。テバジャケットの着こなしもお見事だったけど、次はぜひともロングインタビューをお願いしようと思うので、楽しみにしてください!

トゥモローランドの
シティボーイ
川辺圭一郎さんの場合

続いてはトゥモローランドでバイヤーとPRを兼任する川辺圭一郎さんの登場。なんと川辺さんは生まれも育ちも渋谷区で、今の勤務地は恵比寿。ファッション業界の親戚に影響を受けながら育ち、アートや食への関心も深い、まさに生粋のシティボーイなのである!

そんな川辺さんが、どんなふうにこのテバジャケットを料理するんだろう?と興味津々だったけど、ご覧のとおりさすがの着こなし。ツイード製のテバをクルーネックのニットやジーンズでシンプルかつ都会的に合わせている。

一見するとごくシンプルに見えるんだけど、少し大きめのテバを選んでカバーオールっぽい雰囲気にしたり、リーのカウボーイジーンズを合わせていたりと、よくよく見るとマニアックなこだわりが満載だ。

1978年〜79年あたりのB.C.B.Gやサンジェルマンスタイルを彷彿させる着こなしは、「ぼくのおじさん」的にも真似してみたい!


足元はジャコメッティのブーツ。ニットは自社のオリジナル。ジーンズ以外は茶系で合わせた、とてもシックな着こなしだ。ラペルにピンズなどを合わせたちょっとしたアレンジも洒落てるな。

テバジャケットへのお問い合わせ(エスプリ・ユージー・東京ショールーム☎︎03-3234-5075)
肩が落ちる程度のほどよいオーバーサイズをチョイス。ちょっと太めのアームもいい雰囲気なんだよね。

実はテバジャケットのことはずっと気になっていて、個人的にフランスのセレクトショップで買ったこともあるんです(笑)。 ジャケットをドレスダウンするのが今の気分なんですが、そういう着こなしにぴったりくるジャケットですよね。個人的にはアルニスのフォレスティエールのようなフランスっぽい解釈で着たいので、ジャストより1サイズアップを選んでいます。
こういうご時世においても「ここにはきっと何かあるだろう」と思ってもらえるように、ぼくたちバイヤーは、日々面白いものを探しています。テバジャケットは、まさにそういう洋服屋魂をくすぐるアイテムですよね。
うちでも来季から扱うので、楽しみにしていてください!

装いのフレンチな気分を盛り上げる、カルティエの『タンク』。テバジャケットはシャツ袖だから袖口にニュアンスをつけやすいので、時計愛好家の方にもおすすめなのだ。
近年「ハズバンド」などのフレンチ70’sなブランドに力を入れている川辺さんならではのチョイスが、ヴィンテージショップで購入したリーのカウボーイジーンズ。シルエットもさることながら、左綾デニムならではの力の抜けた質感もたまらない!
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