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フランスから、粋。
LUTAYSが教えてくれた
「ぼくのおじさん」に
欠かせない帽子、
ベレーにまつわる物語
文・写真提供/Jean-Baptiste Rosseeuw
「ぼくのおじさん」の発祥の地であるフランスのファッションブランド、Lutays。そのデザイナーであるジャン=バティストさんと「ぼくのおじさん」の編集人は、活動のフィールドこそ違えど、古きよき文化を次世代に継承する使命を持った、同志のような存在だ。今回、そんなふたりの対話から、本物のクラシックといえるベレー帽が誕生した! まずはジャン=バティさんによる解説を読んでみて。
フランス人にとっての
クラシックなベレー帽って?
善き人々とアール・ド・ヴィーヴル(暮らしの芸術)への情熱を共有するLUTAYS(リュテス)とMon oncle(ぼくのおじさん)は、魅惑的な名品、ベレー帽を巡って対話を続けてきました。
ベアン(フランス南西部)で発祥し、後にバスク地方で普及したベレー帽は、19世紀には農村や労働者階級の象徴となりました。
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と同時に、この柔らかくて暖かいウール製の帽子は、軍服としても古くから重宝されてきました。シャスール・アルパン(フランスの精鋭山岳歩兵)に採用されたことをきっかけに、第一次世界大戦後には、ヨーロッパ各国の軍隊で使われるようになったのです。
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画家のカミーユ・ピサロやクロード・モネ、彫刻家のオーギュスト・ロダン、作家のエミール・ゾラ、司祭で社交界の重鎮であったラベ・ピエール、探検家のアルマン・シャレ・・・。社会階層や国境を越えて、あらゆる特別な人物がこの有名な帽子をかぶりました。 チェ・ゲバラやモンゴメリー野戦司令官も、この帽子なしでは写真に収まりませんでした。
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田舎や戦場だけでなく、いつしかベレー帽はフランスのファッションシーン、そして女性のワードローブとしても脚光を浴びるようになりました。女優のアルレッティや、ブリジット・バルドーは特に印象的な存在ですね。
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そして多くのアイコン的ファッションアイテムがそうであるように、ベレー帽もコピーされ、様々な工場で大量生産されるようになったのです。
LUTAYSが
「ぼくのおじさん」のために
本物のベレーをつくった!
現在我が国フランスに残っている本物のベレー帽をつくるアトリエは、LAULHERE(ロレール)だけだと言われています。しかし、実はほかにもふたつのメーカーが生き残っており、伝統的なベレー帽の品質を守り続けています。ご存じでしたか?
LUTAYSは、本物のフランス製品を卓越したクオリティとスタイルで提供するという使命に忠実に、Mon Oncleのために、本物のフランス製ベレー帽を復活させるという挑戦に挑みました。
前述した工房でつくられるベレー帽は、もちろんフランスの職人によるハンドメイド。選ばれた生地はブルゴーニュ色のフランス製ウールで、裏地はLUTAYSのクチュールジャケットと同じ、ブルーのピュアシルクです。
このコラボレーションを記念して、ベレー帽の内側にはMon OncleとLUTAYSのタグが縫い付けられています。
このモデルは 〝Cabillou 〟と呼ばれ、フランス語でベレー帽の上部にある小さな先端を意味しています。その製法はを、これから紹介しましょう。
①まず、ベレー帽の生地は均一なサイズと品質基準を得るために機械の織機で織られます。その後はピンセットを使って手作業で検査とクリーニングを行います。
②ウールの生地は縮絨の工程を経て、フェルトへと姿を変えます。この工程においては、つくる帽子の色やサイズに合わせた調整が欠かせません。
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③次の工程もまた困難です。縮絨したベレーはまだ熱いうちに木枠の上に置き、丸1日乾燥させることになります。ちなみにこのベレー帽は、内側にレザーのトリミングを施していないので、幅広いサイズにフィットするのが特徴です。55㎝から61㎝くらいまでの人なら、違和感なくフィットするでしょう。
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④最後は仕上げの工程です。木枠から外した帽子を、職人がひとつひとつブラシをかけたりヤスリがけをするなどして、表面を整えていきます。
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⑤ここまでが一般的なベレー帽の製作工程ですが、LUTAYSとMon Oncleのベレー帽の場合、さらなる工程が待っています。LUTAYSがジャケットに使用しているシルク生地をレーザーでカットし、内側にライニングとして縫い付けるのです。
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全工程が終わったのちに、再度クオリティをチェックしたら完成。おっと、私たちのコラボレーションの証である、織りネームも忘れてはなりません。
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さて、私たちがつくった本物のクラシックベレーは、早速Mon oncleの編集人であるムッシュ・ヤマシタの元に届けられました。彼は長年にわたるベレー帽の愛用者であり、そのコーディネート方法を、素晴らしい方法でマスターししている人物です。お求めの際は、ぜひムッシュ・ヤマシタのアドバイスを受けてみてはいかがでしょうか?
LUTAYSは、このような象徴的な作品をムッシュ・ヤマシタのワードローブに納めることができたことを誇りに思います。そして、ベアンからパリ、そして日本へと繋がるベレー帽の素晴らしき旅を皆様にお届けできることが、嬉しくてなりません。
それでは皆さん、またお会いしましょう!